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消毒と除菌と滅菌
※12/20内容追記.
みなさんは滅菌をご存知でしょうか?
今回は清潔の最上位にある、滅菌について詳しく書いていきます。
銀色のトレーに並べられたミラーや先の尖った器具。
紙のトレーに乗せられているところを見たこともおありかと思います。
歯医者で見る器具器械は、どれもギラギラと光っていて見ているだけで怖くなるなんてことが多いですよね。
私自身も歯の治療を受ける際には、あの銀色の輝きが恨めしいと思ったことは幾度となく。
そんな医療器具の中でもおそらく一際みなさんの顔の間近に見る事のある歯科治療の器具ですが、一見きれいそうに見えるけど実際はどうなの?
という疑問にお答えします。
まずは滅菌とは、
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
滅菌
めっきん
sterilization
と、解説されています。
当院は滅菌の行程がシステム化されていますが、全て行うにはかなりの時間が必要なのです。
通常、歯科治療における器具の消毒には、ほとんどがオートクレーブ(高圧蒸気滅菌)で対応可能な場合が多いのですが、治療に使う器具はより厳しい消毒を行うためオートクレーブ(高圧蒸気滅菌)による滅菌の前に、
洗浄→消毒液に浸す→
洗浄→別の消毒液に浸す→
洗浄→オートクレーブ(高圧蒸気滅菌)→オートクレーブに適さないものはガス滅菌
をかけて、徹底的に消毒しています。
正直、これを一人で行うのはすごく大変です。
普段はスタッフが診療の合間に時間を見つけて行ってくれているのですが、ベテランのスタッフが行っても終了するまでに1時間半~かかります。
もちろん滅菌が終わるまで、消毒機械の前に椅子を出して眺めているわけにはいきません。それでもこの行程を1日に何回も行います。
1つの器具・タービンを滅菌するのに時間も手間もかかりますが、患者さんが直接見えないところにも安心して治療を受けてもらいたいと言う当院の方針に協力してくれているスタッフ方に感謝です。
※滅菌とは完全に細菌およびウイルスを死滅させる事で、消毒(ほぼ死滅させる)や除菌(ほぼ取り除く)よりも確実に感染させない方法です。
http://idsc.nih.go.jp/disease/sars/desinfect04a.html
1. 加熱滅菌可能なもの
(ア) 高圧蒸気(オートクレーブ)滅菌(121℃、20分) | |
(イ) 乾熱滅菌(180~200℃、1時間 あるいは 160~170℃、2時間) | |
(ウ) 煮沸消毒(98℃以上、15分以上) |
2. 加熱滅菌不可能なもの
(ア) 次亜塩素酸ナトリウム: | ||
・ | 有効塩素濃度は0.02-0.05%(200-500ppm)で1時間以上浸漬使用することが多いが、確実な殺ウイルス作用を期待するためには0.1%(1,000ppm)以上30分以上の作用が有効である。 | |
・ | 布、金属に対して腐食性があり、有機物が付着していると効果が低下する。 | |
・ | 人体には使用できない。 | |
・ | リネンには0.1%(1,000ppm)で30分浸漬後水洗、食器などには水洗後0.01-0.02%(100-200ppm)で5分以上浸漬する。 | |
・ | 排泄物の消毒には0.1-1%(1,000-10,000ppm)濃度が有効である。 | |
(イ) 消毒用エタノール(約80%): | ||
・ | 人体に対する毒性が少なく、手指の消毒などに適している。ただし、密閉した容器に保存しないとアルコール分が蒸発し、濃度が保たれないため効果が激減する。 | |
・ | 脱脂効果のため皮膚が荒れることがあるので、スキンケアが重要である。 | |
・ | 粘膜面には使用できない。アルコール系消毒剤として、イソプロバノール(70%)が使用されることもあるが、ウイルスに対する効果はエタノールより劣っている。 | |
・ | 手指の消毒には速乾性皮膚消毒剤(例:商品名ウエルパス、ヒビスコールなど;塩化ベンザルコニウム又はグルコン酸クロルヘキシジン、エタノール、界面活性剤、湿潤剤含有)の利用頻度が高い。 | |
・ | 血液などが付着している場合などには、内部まで届かないことがあり洗い落とす必要がある。 |
|
・ | 引火性があるので、取り扱いに注意が必要であり、広範囲な噴霧には向いていない。また、消防法での規制がある。 |
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(ウ) 過酢酸: | ||
・ | 低濃度(0.001-0.2%)で芽胞を含むすべての微生物に対して効果がある。また、有機物が存在していても有効である。 | |
・ | 最終的に水、酸素、酢酸に分解し、有害物質が残留しない。 | |
・ | 一部の金属を腐食する。 | |
・ | 刺激臭がある。 | |
(エ) グルタルアルデヒド(2%、pH8): | ||
・ | 化学作用、蛋白変性作用が強く、殺菌力も強いためあらゆる微生物を消毒することが可能である。 | |
・ | 刺激が強いため人体には使用できない。 | |
・ | 器具の消毒には血液や体液を十分に除去した後、2%グルタラール液に1時間浸漬の後、十分に水洗する。 | |
・ | 排泄物や体液の消毒には2時間以上浸漬する方が確実である。 | |
・ | 床の消毒には0.2%液で清拭し、30分以上放置の後、水拭きする。 | |
・ | 内視鏡の消毒などには、3%液での15分消毒が過程に組み込まれていることがある。 | |
・ | 消毒にあたっては保護具の使用、換気が必要である。 | |
(オ) ホルムアルデヒド(液体:1-5%溶液、ガス:1m 3あたりホルマリン15ml以上を水40ml以上と共に噴霧又は蒸発させ、7-24時間): | ||
・ | 液体は医療器具の浸漬消毒あるいは清拭に用いる。 | |
・ | 室内の殺菌をする場合にガス状にして使用することができるが、毒性、刺激性が強い。 | |
(カ) エチレンオキサイドガス: | ||
・ | 濃度約500mg/L、55-60℃、3時間以上処理。中央材料室などで非耐熱性器具等の滅菌に利用する。その後のガス残留がないように注意する。 | |
・ | 吸入すると気道の炎症や吐気、めまい、神経症状を起こし、催奇性、発癌性のリスクも指摘されているため、十分に換気することが必要である。 | |
(キ) ヨウ素系消毒剤(ヨードホール): | ||
・ | ヨウ素とキャリア(非イオン系界面活性剤)の複合体を作り、水溶液としたものである。アルカリ性になると効果がなくなり、有機物の混在によって効果が減弱する。 | |
・ | 喀痰や血液が付着していると効果は著しく低下する。 | |
・ | 一般の金属には腐食作用があり、皮膚、粘膜、布類への着色がある。 | |
・ | 手術部位の皮膚消毒には10%溶液、10%エタノール液が用いられる。 | |
・ | 手指、皮膚の消毒に7.5%スクラブ液も用いられる。 | |
・ | 創傷部位の消毒には10%ゲルが用いられる。 | |
・ | うがいには7%濃度のものを添付書類の指示に従って希釈し用いられる。 | |
・ | 高濃度のヨウ素系消毒剤には皮膚に対する刺激作用があり、ヨード過敏症を起こすことがある。 |
3.塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン、界面活性剤にも消毒効果があると考えられますが、効果が十分得られない場合が有ります。
現段階でのコロナウイルスの消毒には、上述の1と2の消毒方法が推奨されます。
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日本医師会のウェブから一般的な消毒剤に関する情報が入手可能です。
1類、2類、3類微生物の消毒方法(pdf)
消毒・滅菌の概要(pdf)
消毒薬一覧(pdf)
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